やさしい神さまのお話
著者名 | |
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発売日 | 2020年08月24日 |
価格 | 2000円+税 |
判型 | 四六変形 |
ISBN | 9784910053165 |
なにを見ても、そのむこうに神さまがすけて見える人、
その人は神さまを知った人ですが、
なにを見てもその前に神さまが立ちふさがって見える人のほうがさらに上です。~本文より~
もっとも読みやすい日本語で書かれた、もっとも深いイスラームの神さまのお話。
一語ずつ、ゆっくり味わいながら、お読みください。
「本書は12世紀シリアで活躍したスーフィー詩人アルスラーンの『タウヒードの書』を、イスラーム研究者であり、ご自身もイスラーム教徒であった中田香織さんが易しい日本語に書き起こして解説した神学書です。(略)『タウヒードの書』は800年以上前に書かれた古典でありながらも、そのメッセージは決して色褪せることはなく、現代社会に生きる私たちのほうが本書をより必要としているようにも思えます。」(序文・山本直輝)
【著者略歴】
中田考
イスラーム法学者。イブン・ハルドゥーン大学客員教授。1960年岡山県生まれ。灘中学校、灘高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了(Ph.D)。1983年にイスラーム入信、ムスリム名ハサン。『13歳からの世界征服』『70歳からの世界征服』『みんなちがって、みんなダメ』『イスラーム学』『イスラーム入門』『帝国の復興と啓蒙の未来』『イスラーム法とは何か?』『カリフ制再興 』など著作多数。
中田香織
1961年静岡県生まれ。京都大学人文科学研究科博士課程単位取得退学。1991年パリでイスラームに入信。夫は本書監修の中田考。著書『イスラームの息吹の中で』『やさしいイスラーム講座』『ムスリムの道』ほか。2008年8月16日没。
山本直輝
1989年岡山県生まれ。広島大学付属福山高等学校卒業。同志社大学神学部卒業、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。専門はスーフィズム、トルコ地域研究。現在はトルコのイブン・ハルドゥーン大学文明対話研究所助教。主な翻訳に『フトゥーワ―イスラームの騎士道精神』(作品社、2017年)、『ナーブルスィー神秘哲学集成』(作品社、2018年)。
【出版社より】
今すぐ何かの宗教に入りたいわけではないけれど、神さまを信じている人たちにこの世界がどう見えていて、どういう感覚で日々を過ごしているのかは知ってみたい。
生まれてから今まで、特定の宗教を信じたことが一度もなく、まわりのほとんどの人もそう、という環境で生きてきました。観光地でお寺や神社に行くとお参りはするし、ここぞというときに「神さま、力を!」と思ったこともありますが、その神さまというのは自分にとってものすごくあやふやなイメージで、なんとなく天の上らへんにいるナニか?くらいの感じで、そもそもそのことについてまともに考えたことすらありませんでした。
でも、そんな私でも最近は、神さまを信じている人の心の強さ、に憧れることがあります。特にSNSや日々のニュースを見て、目先の損得しか考えない、自分たちだけ良ければそれでいい、今はいなくなってしまった先達たちや将来生まれてくる子どもたちへの想像力を欠いた人たち、この国はそんな人だらけになってしまったんじゃないか? と思えてしまったような日には特に。
この、昔だったら「お天道様が見ている」という言い方をしたような、《もうひとつ別の物差し》があるといいのにな、と思うこの感覚、わかってもらえるでしょうか? この感覚を大原扁理さんは「お金に人格があると思って、お金に恥ずかしくないように生きる」(『なるべく働きたくない人のためのお金の話』)と言い、将基面貴巳さんは「それのためになら死んでもいいと思える《人の世を超えた何か》を考えてください」(『日本国民のための愛国の教科書』)と言いました。
百万年書房の刊行書籍は、これまでもそういうメッセージを持つ内容が多かったのですが、その中でもこの『やさしい神さまのお話』はそのものずばり神学書、つまり神さまについての解説書です。
もともとは、12世紀シリアで活躍したスーフィー詩人アルスラーンの『タウヒードの書』を、イスラーム教徒であった中田香織さんがやさしい日本語に書き起こして解説したもので、2008年に限定100部で出版されたものでした(ちなみにですが、中田香織さんは、本書監修者でありイスラーム法学者・中田考さんの妻だった方で、本書訳出後の2008年8月にご逝去なさっています)。それを今回あらたに新装改訂し、序文の解説を山本直輝さんに書き下ろしていただいたものが本書になります。
序文で、山本直輝さんはこうおっしゃっています。
「神さまを考えるとは、徹底的に人間について考えることに他なりません。『タウヒードの書』は800年以上前に書かれた古典でありながらも、そのメッセージは決して色褪せることはなく、現代社会に生きる私たちのほうが本書をより必要としているようにも思えます」
本当にそのとおり。この『やさしい神さまのお話』の中には、コロナ禍で先が見えない毎日を過ごす私たちにとって、必要なメッセージが書かれています。
私自身もイスラームに帰依しているわけではありませんが、本書がひとりでも多くの人に読まれれば、この社会が少しでも生きやすくなるんじゃないかと思って、本書の出版を決めました。
あなたがイスラームを信じる人であってもいいし、信じない人であってもいいんです。今の生活の中で、あなたにとって響く言葉がきっといくつか見つかるはずです。
「私たちはだれも、気がついた時にはこの世にいます。何のためだかよくわかりません。なんでこんな顔をして、なんでこんな頭をして、なんでこんな性格なのかわかりません。でも、いるということは、神さまが、それでいいんだよ、そのなりでそこにいたらいいんだよ、と許可証を出してくれているということです。それはつまり愛のしるしです。神さまが私を愛しているというしるしなのです。だから、いるひつようのない人とか、まちがってそこにいる人とかはひとりもいません。許可証には「いついつまで有効」という期限があって、その期限がきたら許可証は神さまに返さなければなりません。でも、その時まではだれにえんりょすることもなく、いばってそこにいたらいいのです。」(2・創造主より)
長く愛されて繰り返し読んでいただけるよう、内容に合わせて装幀にもこだわりました。
本文2色印刷、仮フランス製本、やや小ぶりなサイズ感の鈴木成一デザイン室による美麗なブックデザインです。ご自宅の本棚の、手に取りやすい場所に置いて、一語ずつ、ゆっくり味わいながらお読みください。
きっと一生のうち何度も読み返す本になることと思います。
北尾修一(百万年書房)