悪口論
著者名 | |
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発売日 | 2024年08月22日 |
価格 | 2400円+税 |
判型 | 四六判 |
ISBN | 9784910053493 |
私たちは社会を賢くしなければならないのであって、あなたが賢くなる必要はない。
『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』著者が、哲学対話をきっかけに考えた「悪口」という戦術。
恐怖と安堵のあわいで生き恥を晒し、資本主義に悪酔いしながらも負け組の積極財政派として欲望を仕分けせずに生きていくということ。なんたる難題。だけど、誠実すぎる言葉がここには無数にある。
作家・活動家 雨宮 処凛
権力の脅しに慣れきった民衆。民主主義や反資本主義を唱えるが自らは行動しない大学人。本書は彼らの喉元に鋭い刃を突きつける。政治的指導者観を一新したマキャヴェリ『君主論』を連想させる、新しい「市民論」。
西洋史学者 将基面 貴巳
学生運動が消えた阪大で鷲田清一に憧れて哲学カフェする連中を憎んだ。でも、僕は何もしなかった。小峰ひずみは臨床哲学を変異させて活動家になった。何をなすべき(だった)か。実践で実践を教える実践書だ。
文筆家 綿野恵太
著者が、本書で、自らの半生をかように身も蓋もなく開示するのは、「あなたも書ける」と知らせるためだ。いかに他者の知を継承し、いかにこれを手渡すか、聞く耳をもたせるか、体を向かわせるか、そのために言葉は綴られる。「あなたも書ける」と言い切ることにすべてを懸ける。その気概に、しっかりと打たれてしまった。
彫刻家・評論家 小田原のどか
分断の時代だといわれる。だから、ケアや「推し」で他人をいたわるのが美徳だと思われている。誹謗中傷などもってのほか。が、分断がなければ連帯なく、断橋がなければ架橋はない。対立の力を熾烈な交流へと変換する谷川雁の工作者の精神は哲学対話にひきつがれていた。本書を読んで、私は小峰ひずみと対話したいとまったく思わなかったが、小峰はそんなことお構いなしに語りかける。うっぜ。しかし、そのうざさのなかでこそ悪口は悪口の技術を獲得するのだ。悪口をやめるのではなく、悪口の技術を学ぶ道を採るとき、政治運動はすべての人にその門戸を開く。
在野研究者 荒木優太
悪口上等、ぶつかってナンボ。「正しさ」に縛られ、物申す手段は投票しかないと刷り込まれた私たちの横っ面を、本書は叩(はた)く。生身の人と人とが散らす火花からだけ、この沈鬱とした社会を変えうる狼煙は上がるのだ。
ノンフィクション作家 藤原賢吾
社会に絶望したふりをして絶望しきれずにいる私たちに、いま必要なのは運動の「技術」なのだと思う。「そうだそうだ」と「それはどうだろう」の先に「じゃあどうする?」を突きつける実践の書。
新聞記者 滝沢文那
罵倒語を豊かにしたいと考えてきたのでわが意を得るところが少なくない。若いといってももう三十路の書き手だから当然と言えば当然だが、文章は平明で、ポレミークの運びは緻密で周到で戦略的だ。その<戦略>は過剰なまでにスリリングである。「活動家」には論理の不備を衝く「知識人」として挑発し、「知識人」には「知識人は味方のような敵だ」と、「活動家」の立場で威圧する。『平成転向論』同様、共感と敵対を無数に組織する<技術>は端倪すべからざるものだ。
批評家 菅孝行
批評と運動の二刀流、「知の大谷翔平」こと小峰ひずみに瞠目せよ! 本書は世界とあなたの未来を、劇的に変革する。必読‼︎
作家/アイドル評論家 中森明夫
どれほどくだらない運動も(あ、「悪口」を云ってしまった)何か良きものを生み出す可能性を秘めている。80年代後半の土井社会党ブームは私を生み出したが、“2015年安保www”(あ、「嘲笑」してしまった)は小峰ひずみを生み出したようだ。
革命家 外山恒一
【目次】
第一章 感情論
Ⅰ 男根主義
Ⅱ 感情
Ⅲ 連帯
Ⅳ 力
Ⅴ 問題
第二章 悪口論
Ⅰ 職場で
Ⅱ 政治運動で
Ⅲ 悪口
Ⅳ 狂信者
Ⅴ レーニン
第三章 (生き)恥論
Ⅰ 恥
Ⅱ 罵倒
Ⅲ 仲間
Ⅳ 死
Ⅴ 裏切り
第四章 言行論
Ⅰ シェアハウス
Ⅱ シニシズム
Ⅲ 技術
Ⅳ 臨床哲学
第五章 何をいかに受け継ぐべきか
Ⅰ 対話
Ⅱ 嘲笑
Ⅲ 社会
Ⅳ 物語
Ⅴ 誰でも、いつでも、どこでも
Ⅵ ブーメラン
悪口論--脅しと嘲笑に対抗する技術 注釈
【著者略歴】
小峰ひずみ(こみね・ひずみ)
大阪府生。大阪大学文学部卒。
第65回群像新人評論賞で「平成転向論 鷲田清一をめぐって」が優秀作に選出される。著書に『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』(講談社)。論考に「大阪(弁)の反逆 お笑いとポピュリズム」(『群像』2023年3月号)、「人民武装論 RHYMESTERを中心に」(『ことばと vol.6』)、「平成世代が描く左翼像」(『中央公論』2022年10月号)、「議会戦術論――安倍晋三の答弁を論ず」(『群像』2024年7月号)、座談会に「戦術談義 運動の技術/現場の工夫」(『情況』2024年春号)。